1970年開催の大阪万博のアミューズメントゾーンとして、大阪府吹田市に作られたのがエキスポランドです。
万博後1972年に遊園地として再会し、2009年まで運営されていました。
閉園となった理由は、アトラクションによる重大な事故が起こってしまったためです。
今回は事故の詳細から閉園に至る理由、エキスポランドのその後までを調査しました。
目次
エキスポランドで事故が起きたのは風神雷神というアトラクション
事故が起こったアトラクションはジェットコースターです。
1990年に開催された国際花と緑の博覧会にて運行した風神雷神。
それをモデルとし新たに作られたのが、エキスポランドのアトラクション、風神雷神Ⅱです。
- 青を基調とした風神
- 赤を基調とした雷神
という車両を使用しておりそこからネーミングされたと思われます。
初代はレールも合わせて赤と青の2つありますが、風神雷神Ⅱは1レールで基本は1車両のみを使用。
混雑状況に合わせて他の車両を使用するなどと使い分けていたそうです。
スタンディグといわれるタイプで立ったまま固定されるものです。
今は事故の影響から日本に限らず、海外でもめったに制作されていないようです。
そんな風神雷神て事故が起きたのは2007年5月5日。
ゴールデンウィークの混雑する中でした。
当時の記事に事故の詳細が記載されていたので紹介します。
スタート後、約150メートル走行した時点で、2両目前部の車軸の先端が破損。
レールを傷つけながら走行し、約680メートル地点で、車軸で固定されていた車輪のユニットが脱落した。
その後、車両は左に大きく傾いたまま約35メートル進み、点検用通路の手すりに接触。
乗客の女性1人が頭を挟まれ即死でした。
事故の被害者は小河原良乃さん
死亡した女性は滋賀県東近江市に在住していた小河原良乃さん。
年齢は19歳、玩具メーカーで勤務されていました。
事故当日は同僚5人とエキスポランドに訪れていました。
午後0時45分頃、プラットホームに戻ってきた風神の車両に乗っています。
この際、グループは先頭に小河原さんと同僚1名の2人。
間に3人の親子連れをはさみ、4名の同僚と分かれて並んでいました。
1両4人乗りであったため、最初に2名で乗ってしまうと、親子が1両目の後列と2両目の前列にわかれてしまいます。
そこで小河原さん達は親子連れに先頭車両を譲り、6名でまとまって2両目から3両目前列にかけて乗りました。
2両目の左前列に乗車していた古川小百合さんは、結果的に事故の被害者に…。
小河原さんのすぐ後ろにあたる、2両目左後列に乗っていた同僚の古川小百合さんも重傷を負っています。
また残り18名の乗客も軽傷と負い病院に搬送されています。
大型連休の楽しい思い出が事故によりあっという間に悲惨なものに。
乗車時に親子連れに席を譲るなど、とっさの気遣いができる心優しい女性が犠牲となってしまいました。
国内には様々なテーマパークがあります。
今後同様の事故がおきないように徹底的に管理してもらいたいです。
脱輪の原因は金属疲労による破損だった
車軸の金属疲労により部品が破損したための脱輪。
素材は摩擦に強いものが使用されていました。
コースターの重量や上下左右の激しい移動など、長年の負荷が破断につながったと言われています。
一つの部品の破損から脱線事故がおこってしまいました。
「風神雷神Ⅱ」は1992年に作られたもので、シンプルな作りになっているのではないかと思います。
異変がおこった場合に通知するといったものや、緊急停止装置の技術も昔よりは高くなっているのではないでしょうか。
現代の技術は過去から学ばれて対策されています。
今後もできる限り、安全性を高めてほしいです。
エキスポランドの事故の真実!目撃情報や写真の真相
事件はゴールデンウィーク中であったため、多数の目撃者が確認されています。
- 車両が「ギーギー」という音をたてながら左右に大きく揺れて走っていたのを目撃した
- 金属が摩擦するような『ギュー』という音がした
- 部品のようなこぶし大の塊が落下するのを見た
- 犠牲者も見えたので、周囲にいた大人は子どもに見せないように立ちふさがっていた
- 『バリバリ』という物が壊れる音で頭上を見上げた。
- コースターとみられる部品の破片が飛び散ってきた。
- 白い煙も見えた。2両目の前の人はピクリとも動かなかった
ジェットコースターの異変から被害者の様子まで。
他にも血が凄かったというものや、同僚が被害者を探している声を聞いたという方もいます。
また、事件前の午前10時半に乗車した方が、普段より横揺れが大きいと事故の前兆のような内容も確認もされました。
事故当時の写真についても「首が飛んだ」と噂になっています。
検索の予想変換からみても分かりますね。
果たしてどこからどこまでが本当なのでしょうか?
フライデーが掲載した事故写真や首が飛んだ説はデマ?
事件直後にフライデーの記事で遺体写真が取り上げられていたそうです。
遺体が写っていて凄かったというものから、よく分からない・搬送時のものであるといった情報があります。
実際の内容確認ができないので写真に関しての真偽は不明です。
ただ、フライデー(2007年5月25日号)で記事にはなっていることは確認しました。
また、文春でも記事になっていたようです。
これらの記事では切断と書かれているので生首話がでたのでしょうか。
ただ、実際には首が切断されたというのは嘘だというのが有力です。
当時の記事にも車体と手すりに頭部を挟まれたとあります。
損傷具合が激しく頭部の認識ができなかった、遮蔽物などで首がないように見えたのではないでしょうか。
現場の写真を見るとかなり血しぶきが飛んでいるため、血液が飛んだ可能性は十分にあり得ます。
事故に関しての画像検索をすると、事故後のアトラクションの様子が確認できます。
安全バーは壊れ、金属部分の塗装が剥がれています。
どれだけの勢いでぶつかったのでしょうか。。
かなりの衝撃があっただろうと想像できるので、激しい損傷をうけたのは間違いないでしょう。
事故瞬間の目撃者の中にはPTSDを発症する人まで
PTSDとは、衝撃的な出来事でトラウマを抱えたことにより、その後の日常生活に支障をきたす症状です。
目撃者の中には事故の惨状を目にし、気分が悪いと病院に搬送された方が32名以上います。
大型連休中ということもあり、子供の姿もたくさんありました。
今でも文部科学省のHPには、当時の子供に向けたPTSDのページが確認できます。
このような事故を目撃してしまったとなれば、トラウマになってしまうのは当然でしょう。
楽しむ目的できていたとなればなおさらです。
どうか今は健やかにすごされているよう祈るばかりです。
メンテナンス不備と経営難によって事故が起こった?
エキスポランドは現在閉鎖となりましたが、この事件が起きたからというのだけが理由ではなさそうです。
事故をきっかけに驚きの管理体制が発覚したのです。
エキスポランドではメンテナンスや事故の防止・対策を独自で行っていました。
その際の点検は目視で行われていたそうです。
該当の破損した車軸に関しては、なんと設置当時から一度も交換していなかったそうです。
本来、行う予定だったメンテナンスを後回しにしたりするなどずさんな検査が行われていました。
事件後の調査により、他のアトラクションなどでも亀裂や破損が確認されています。
経営難に陥っていたこともあり、検査にまで手を回していませんでした。
当時は定期的な検査と報告が義務づけられていたものの、検査項目に関しては指定がありませんでした。
そのため政府によって2007年7月1日、遊戯施設安全管理室が新設され対応を行っています。
設置当初から風神雷神はメンテナンスすることなく、15年間使用していたと言われています。
機械に詳しくなくともどれだけ危険か想像できます。
初代モデルが現役で使用できている点をみても、日頃のメンテナンスがどれほど大切かわかります。
絶叫マシンなど速度の出るマシンでは、厳重な検査を行ってほしいですね。
エキスポランドは他のアトラクションでも事故を起こしていた
死亡事故は風神雷神Ⅱのみですが、他のアトラクションでの事故も多数起こっています。
まず風神雷神の事故前に1件。
2006年8月20日
「Gフォース」にて運転中にほぼ水平で当然停止。
地上約9.7メートルで約25分取り残されました。
幸いけが人はありませんでした。
そして事故が起こってからは一時休園を経て再開。
なんと再開初日に起こっています。
2007年8月10日
「ワイルドマウス」にてコースの最も高い位置まで、車両を引き上げる斜面の途中で緊急停車。
コンピューターに不具合が生じ、安全装置が作動しました。
その後も2件の事故が起こっています。
2007年9月15日
「OROCHI」にて周回を終えたマシンがホーム直前で減速したものの、
停車することなく2周目に進みもう1周するトラブルが発生。
センサーの誤作動が原因と判明したものの、
なぜ誤作動が起こったかまでは突き止められませんでした。
再発防止のため二重の車両停車システムを導入する対策を行っています。
2007年10月7日
「急流すべり バックスピン」にてボートが最後の急流部分を下った直後、
乗船中の小学1年生の男児がボートの縁に頭を打ち付け救急車で搬送されました。
安全ベルトが何らかの原因で伸びた可能性があるとして、ベルトの伸びしろを30センチ短くする対策を行っています。
事故後は対策を行うなどみられ安全面の考慮を感じますが、原因が突き止められていなかったり、何かしらと言われてる点が怖いです。
結局信頼を回復するに至らず、事故後の客足は例年の2割以下になりました。
元々の経営難もあり、休園。
再開の予定でありましたが、営業再開が見込めずそのまま閉園となりました。
一度悪いイメージがついてしまうと、改善するのはなかなか難しくなりますね。
一方で混雑していなかったから好きだったという声や、小さい頃にいった思い出の地として語られていることもあります。
歴史もあり有名であったアミューズメントパークなだけに、その最後も含め、残念でならないです。
エキスポランドの事故後に心霊現象が発生?
事件後に公開された画像で心霊写真とされるものがあります。
右列の後ろから4番目のおじさんの後ろに怪しい影がと言われています。
画像が小さいものなのでなんとも言えません。
確かに影のようなものが確認できますが、ただ黒い物体なので正体不明ですね…。
後ろの人のものにしては位置もおかしい。
おじさんの真後ろに何かがあるようにみえます。
わかりにくい場合は頭部の固定部と思われる部分の数を確認すると見やすいです。
事故後のものなので2両目がありませんが、1列12名になっています。
残念ながら詳細はわかりませんでした。
何でも関連づけるのはよくないですが、事故後の画像なだけに少し怖く感じます。
昔の荒い画像は、鮮明なものよりも恐怖を感じる場合が多いですね。
今では逆に編集で古いものに見せたりする手法もあります。
ホラーものはリアリティをだすよりかは、不鮮明な中で想像をかき立てられる恐怖がある方が良いのかもしれません。
エキスポランドの賠償金と裁判結果はどうなった?
裁判の結果、元取締役・元施設部長の2名に、
- 禁固2年
- 執行猶予4年
- 罰金40万円(求刑禁固2年、罰金50万円)
の有罪判決がされました。
他に、
- 株式会社エキスポランドに対し罰金40万円(求刑罰金50万円)
- 元技術課長には罰金20万円(求刑罰金30万円)
が課されています。
遺族の方が事故10年後に語った記事があります。
下記はその記事で語られているものです。
業務上過失致死傷罪などで有罪判決を受けた旧エキスポ社の当時の取締役や施設営業部長らは、4年間の執行猶予が終わった後の2014年5月を最後に弔問に来なくなった。
「今回で最後にさせてもらいます」。
頭を下げながらの言葉に怒りがこみ上げた。
「娘の命を奪ったのに、事故の責任を自覚していないのか。反省は口だけだったとしか思えない」
10年後の記事は衝撃の内容です。
過失のある側が最後を決めるとはどうなのでしょう。
遺族の方の意見はもっともだと思います。
一人の命を犠牲にしてしまったのは重大なことです。
許されるまでいつまでも謝罪しろ!というのも、「事故を思い出してつらい」という気持ちが考えられるため難しい点ではあります。
ただ、このように言われるということは、遺族に対しての気持ちが全く感じられなかったのでしょう。
亡くなったことにより人生が狂ったのは被害者だけではありません。
犠牲者の方に関わる遺族にも誠心誠意対応すべきだと思います。
エキスポランドは現在閉園し跡地にはエキスポシティが設立
閉園後、2010年3月には一部を除き更地になりました。
それから2010年3月下旬から2011年5月15日までは、
園全体の5分の1ほどの敷地で農園体験型公園「ファームエキスポ」が運営されました。
貸し農場を「畑の教室」とし、アドバイザーの指導の元で野菜の栽培などが行えました。
農産物直売所「エキスポ・マルシェ」や、ファームエキスポ利用者以外が利用できる収穫体験も可能でした。
2011年7月9日から9月4日までには、「万博プールガーデン」として園内にあったプールをオープンしています。
その後、大阪府は跡地利用事業者を公募しました。
2011年12月13日に三井不動産が選定され、2015年11月19日に「エキスポシティ」が誕生しました。
複数の施設や水族館・映画館を併設し、観覧車も設置されています。
日本最大級の大型複合施設として楽しまれています。
今では国内外を問わず楽しめる施設が経営されています。
広大な土地となると逆にできるものが限られてくるのかもしれません。
最近では大きければこういった複合施設になることが多いですね。
一日では周りきれないと言われていますので、是非ともその広さを確かめてみたいです。
まとめ
エキスポランドについていかがでしたでしょうか?
事故の内容をはじめ、対応面においても驚きばかりでした。
現在に至るまで壮絶な内容でした。遺族の方は未だに苦しんでいます。
今回の事件を教訓に痛ましい事故が今後も起こらないように、テーマパークでは安心・安全の運営を続けてもらいたいです。
また、そのための技術開発など、今後も技術の発展に期待したいです。
犠牲になられた小河原良乃さんにご冥福をお祈りいたします。