アムウェイの勧誘の手法については以前から問題が指摘されており、みなさんも一度はアムウェイの勧誘にあったり、または勧誘を受けた人の話を耳にしたりした経験があるのではないでしょうか?
かつて私が新卒で入社した会社にもアムウェイ会員が存在し、しばしばちょっとしたトラブルを起こしていました。
私は全く勧誘されませんでしたが、先輩社員の方が無理矢理浄水器を売りつけられそうになったので、その相談にはよく乗っていました。
ご自身の判断でアムウェイのビジネスに関わることは自由ではあります。
しかし、勧誘する側はその気のない人も取り込もうと、様々な手法やテクニックを駆使して近づいてきます。
知らず知らずのうちに取り込まれて契約してしまって後悔……というのは避けたいものです。
そこで、この記事ではアムウェイ会員に勧誘されやすい人の特徴7選と、アムウェイ会員に勧誘されない為の方法をお伝えしていきます。
目次
アムウェイ会員の大半は「勧誘しやすい人」を狙う
現在のアムウェイ会員数は約69万人と発表されています。
ネット上の情報によれば、全体のディストリビューターの中の約70%が無報酬であり、つまり実際に稼げているのは残りの約30%だけということになります。
しかも、その30%の報酬を得られているディストリビューターの平均取得金額は約10,000円弱です。
アムウェイで生活していけるだけの報酬を取得している人は全体の約0.6%に過ぎず、「稼いでいる」といえる人はごくわずかしかいない、というのが実情です。
加えて、アムウェイの商品の値段は一般的に流通している商品と比較してもかなり割高です。
今の世の中、アムウェイ製品と同品質のサプリ・化粧品や鍋、空気清浄機等はネット上で検索すれば簡単に見つけることができます。
そんな中で割高なアムウェイ製品を継続的に販売していくことは、余程の営業スキルの持ち主でもないかぎりは至難の業といえるでしょう。
とくにまだ入会したての末端ディストリビューター達は、まず自分の下に子会員を作らないといつまでたっても収益をあげる事ができないので、勧誘には必死になります。
自分が上になり利益を出し独立するには、誰かを会員にし、グループを拡大しなければならないからです。
アムウェイ会員の勧誘方法が問題になるのは、この末端クラスのディストリビューターが自己利益を優先するあまり、暴走する(違法行為をする)のが原因です。
上位のディストリビューター達も、ダウン(自分のグループの下位メンバー)達が上手く勧誘できるように、継続して教育していく必要に迫られています。
何も行動を起こさなければ、一度勧誘したとしてもすぐに退会してしまう人が多いからです。
たとえ上位ランクにいたとして、会員数を維持できなければ、今月は100万円あった収入が、翌月は0円になってしまうということもあり得るのです。
自分の収入を維持するためには、退会しようとする人を引きとめ、常にダウン達のやる気を奮い立たせて、精力的に活動するように仕向けなければなりません。
また、アムウェイでは、ダウンの頑張りも必要ですが、アップのディストリビューターが直接勧誘した人が多いほど収入も多くなる仕組みがあります。
よってどれだけ上位レベルのディストリビューターであっても常に新規のメンバーを探していかなければ収入を維持できないのです。
このようにアムウェイ会員の大半は、常に新たに勧誘しなければならない状態にあり、アムウェイが定めた期限内に「勧誘しやすい人に」狙いを定めて、効率よく勧誘を進めていく必要があるのです。
アムウェイ会員に勧誘されやすい人の特徴
ではいったいどんな人が勧誘のターゲットにされるのでしょうか?
この章ではアムウェイに勧誘されやすい人に共通する7つの特徴と、その理由を詳しく説明していきます。
ターゲットになりやすい人の特徴を知っておけば、アムウェイをはじめとするネットワークビジネスに勧誘されにくくなりますし、万が一勧誘された場合でもそれを回避する事ができるのです。
経済面の悩みを持っている(特定の職種に従事する人)
ディストリビューター達はやみくもに勧誘している訳ではありません。
一人入会させておしまい、というわけではなく、勧誘した後もその人がディストリビューターとして成長し、さらに会員数を増やしてくれる伸びしろがあるかどうかも考慮したうえで、勧誘の相手を見定めているのです。
よって、経済面で悩みをもっているような職業(いわゆる長時間労働なのに低賃金な職業)。
例えば保育士、美容師、飲食サービス業、工場・現場系の職業についている人を狙って、勧誘をかけていきます。
こういった職業に従事している人は、
- ブラックな環境に耐性がある
- 自分の理想を持っている
- 理想の実現のために稼ごうという意識が高い
といった傾向があるとされています。
彼らは一般的にモチベーションが高く、自発的・積極的に動いてくれるので、アムウェイへの勧誘の説得しやすく、実際会員になったとしても、途中で辞めにくい傾向があるからです。
またこれらの職業に従事する人は、コミュニケーションスキルが高く、同業者との結束が固い傾向にあるのも大きなポイントです。
同じ職種の人同士を集めると、集団の中で悩みを共有できる仲間意識が芽生え、仲間が仲間を呼び、更に勧誘がしやすくなるのです。
健康(美容)面の悩みを持っている
アムウェイはターゲットをディストリビューター(ビジネスパートナー)としてだけでなく製品ユーザーとしても勧誘をします。
例えば、肌荒れや、ダイエット等の悩みを抱えていれば、化粧品やサプリメントのユーザーとして勧誘していきます。
ここでのターゲットは、ある程度お金のある女性で、美や若さを保つためにはお金を惜しまないタイプの人です。
こうした人たちは、特にビジネス目的ではなくても、アムウェイ商品を気に入れば継続して商品を購入するからです。
またスポーツインストラクターやダンサーといった健康や体型維持を必要とする人たちも、アムウェイ製品や理念を違和感なく受け入れられる 傾向にあることから製品ユーザーとしてターゲットにされやすいのです。
将来に漠然とした不安を持っている
コロナ禍の影響などもあって、誰しも少なからず将来に漠然とした不安を抱いているものです。
身雇用が崩壊しつつある現在、「このまま定年までこの会社で働き続けてよいものか」「そもそもこの給料で老後は大丈夫なのか」という思いから、「何かやらなくては!」と考えている人も多いかと思います。
既に具体的に行動を起こしている人は問題ありませんが、気だけが焦り、不安が増える一方で何もしていない人は、勧誘のターゲットとして狙われてしまいます。
しかしその一方で、意外な事に、かつては将来安泰とされていた公務員や看護師といった職業の人をターゲットにするケースもあるようです。
近年では国政が不安定なことに危機感を感じる公務員の人も多く、逆に不安を抱えている層としてターゲットにされがちです。
また、会員に警察官や教師といった公務員がいることでアムウェイビジネス自体の信用度を高め、勧誘をしやすくする狙いもあるようです。
良い意味でも悪い意味でもノリがいい
普段から交友関係が広い人は、明るく好奇心も旺盛で、人間に対して心理的警戒心が低いため、勧誘のターゲットとしては最適です。
更にその中でもいわゆる「意識高い系」の人が最も御しやすいターゲットと言えます。
「意識高い系」の人とは、一言でいえば「自分こそが社会的成功を収めるダイアモンドの原石だ」と思いたい人たちです。
ここでポイントとなるのは「系」の人、ということです。
こうした人は「自己啓発」や「人脈作り」について熱心に語りながら、実際は意識が高いふりだけをしている口先だけの人だといえます。
何かしたいし、ビッグになりたいけれど自力では何もできないひとは、おだてられ自尊心をくすぐられると、その場のノリで簡単に会員契約をしてしまうケースが多いのです。
良い意味でも悪い意味でも素直
素直な「いい人」は、人の話に真摯に耳を傾け、その話をそのまま受け入れてしまいがちで、優しいがゆえに他人の意見に左右される傾向にあります。
こういう人は会員を増やそうとしているディストリビューターから見れば「格好の餌食」としてとらえられてしまいます。
逆に考えれば「素直で良い人」は猜疑心があまりなく、すぐ人を信用してしまいがちだからです。
「騙すより騙される方が良い」とよく言われますが、「素直で良い人」だからこそ、一旦アムウェイのようなマルチ商法のマインドコントロール下におかれてしまうと、なかなかそこから脱出することができなくなってしまい非常に危険です。
よく「素直でいい人」と人から評価される人は、何かおいしいビジネスの話が来たら、一度「疑ってみる」ことも忘れてはいけません。
自分の軸がない
日本人は一般に自己肯定感が低く、物事に対する価値観や判断の基準が他人の意見や世間の目といったものに左右されやすい国民性だといわれています。
こうした傾向の強い人で、特にアムウェイなどの勧誘に狙われやすいのは、親の庇護から離れ、地方から都会に出てきたばかりの若者・新社会人です。
こういった人は、社会経験が浅く、知識も乏しいので自分の中に確固とした軸というものが完成していないので、一方的な情報を鵜呑みにしてしまいがちです。
自分で情報を調査し、熟考するといった「考える」プロセスを踏まずして、相手の言われるがままに流されてしまわないように注意しなければなりません。
勧誘者よりも立場が同等以下
知人を勧誘の対象とする場合には、学生時代のクラブの後輩や会社の元部下など、勧誘する人よりも立場が弱い人がターゲットとして狙われやすい傾向にあるようです。
こういった勧誘者より立場が弱い人間は、かつてクラブ活動や会社で培われた上下関係の影響下にあり、勧誘を断りにくいうえ、その関係性からアムウェイ会員となった後もグループにとって戦力になりやすいのです。
また心理的に立場が弱いため、勧誘に失敗しても、表だったトラブルを起こしにくいので、相手から攻撃されるリスクも避けられます。
こういった経緯から、アムウェイ会員のアップライン(上位のディストリビューター)からも「友人より後輩や部下を勧誘するように」と積極的に支持が出されるのです。
交友関係で先輩と繋がりを多く持っている人は、勧誘されるリスクが高いと言えるでしょう。
アムウェイに勧誘されたときの断り方
ここまでアムウェイに勧誘されやすい人の特徴についてお話してきました。
ではこれを踏まえて、勧誘されない人になるためにはどうしたらいいのでしょうか。
ここではアムウェイ会員が勧誘に使う技法を紹介しつつ、その防御策を説明していきます。
まず断っておきますが、アムウェイのビジネスモデルそれ自体は違法ではありません。
勧誘に際して法を遵守しないディストリビューターは会員登録を抹消(資格をはく奪)されてしまう場合もあります。
しかしながら、勧誘を継続して行わないと収入増加につながらないため、勧誘側は必死です。
中には違法すれすれの限りなく黒に近いグレーな手法を用いて、ターゲットの心の隙につけこんで勧誘しようとするディストリビューターが存在することもまた事実なのです。
「きっぱり断る」ことがなによりも重要ですが、そのほかにも相手の勧誘の手の内を知ることで対応策を立てておくことも大事なポイントです。
きっぱりと断る
先ほども述べたとおり、望まない勧誘に対しては、「はっきりNOと言う」ことが最も重要です。
勧誘してきたのが友人や知人である場合、今後の人間関係のことを考えてしまうとなかなか無下に断ることをためらってしまいがちですが、きっぱりと断ることが重要です。
「せっかく自分の為に時間を割いてくれたのに申し訳ない」など等と優柔不断な態度をとると、ますます状況は悪化してしまいます。
勧誘の話が出たらすぐに立ち去るくらいがベストです。
その時、相手から不義理をなじられたり、煽られたり、といろいろ言われるかもしれませんが一切返事はしてはいけません。
ディストリビューターからしてみれば、相手が反応することそのものが絶好のビジネスチャンスとなるので、こんなときは心を鬼にして、無視することが最大の防御になります。
理由を言わずに断る
はっきりと断るときに、相手は必ずやらない理由を聞いてきます。
ですが、それに答えてはいけません。
ここで答えてしまうと、もうあなたは相手の土俵に乗ってしまうことになります。
前述したビジネスチャンスとはこのこと事で、多くのディストリビューター達は「反論処理」と呼ばれる手法を駆使して、「断る」という相手の答えを無効にしてしまいます。
相手が断る理由を「検討」してみせ、その解釈を誘導していくことで、結果的に「勧誘を断る理由はなかった」
もしくは、「断りの理由はよく考えればむしろ断るべきでない理由だった」という結論を認めさせようとするのです。
例えばアムウェイの活動について「それってねずみ講だよね?」と答えた場合、あえてその疑問を否定せず、相手の意見に「共感」を持って会話を展開していきます。
「私も最初怪しいと思っていたけれど、ちゃんと説明を聞いたらそうじゃなかったんだ。だからやってみたんだよね」といった具合に、相手に対して「自分は味方であり、かつては同じ立場であった」ことを伝え、相手に共感することで警戒心を解き、するりと相手の懐に入っていきます。
この他にも勧誘相手からよく質問される内容は大概「反論処理」できるようにグループ毎にマニュアルが作成されているようです。
主な質問とそれに対する反論処理の例
「じゃねずみ講ってどんなシステムなの?教えてよ?」というように相手に逆に質問します。得てして多くの人はねずみ講の詳しい仕組みまでは理解していませんし、知っている人でもとっさに筋道立てて説明をするのは難しいものです。勧誘者は問答の中で露呈する相手の無知や戸惑いを見逃すことなく、自分を優位におくことで話の主導権を握り、自分のペースで勧誘を展開していきます。
(本当は全く稼げていないとしても)具体的な数字は言わず「このままいくと会社を辞めてもいいくらいだよ」と少し先の未来について答えます。未来のことを語ることは「死に物狂いで頑張って実際にその金額まで稼げるようになれば嘘にはならない」と教えられているからです。そして即座に相手に「いくら稼ぎたい?」と質問を返します。相手の「稼ぎたい」という意思を逃さずキャッチするチャンス、というわけです。
断る理由を答えてしまったら最後、会員登録するまで逃れることはできなくなってしまう可能性もあります。
なので、断る際には相手に自分の情報を与えず、「理由は個人的な事なのでお話することができません」で通しましょう。
それでもしつこく勧誘された場合
繰り返しになりますが、アムウェイのビジネス自体は違法ではありませんが、「特定商取引法」に基づいておこなわれない勧誘行為は全て違法です。
違法な勧誘を受けた場合は即座に消費生活センターや消費生活相談窓口に通報しましょう。
違法になる勧誘方法の例
〇業者名・目的を隠した勧誘
連鎖販売取引では勧誘する前に「販売業者名・商品の種類・勧誘目的であること」を明示しないといけません(氏名等の明示 第33条の2) カフェやファミレスで、事前に内容を告げずに、突然商品や会員登録の紹介をしていた場合は違法となります。
〇閉鎖状況での勧誘
「公衆の出入りしない場所」での勧誘は全て禁止されています。事前に勧誘目的であると告知されていても、密室(ホームパーティ、カラオケボックス、貸し切りの店舗等)で勧誘した場合、違法となります(禁止行為法 第34条)。
〇契約内容についての虚偽・隠ぺい
本来、勧誘するときには、契約にともなうメリットだけでなく、そこで発生するコストやリスクなど、デメリットについても明示する義務があります。勧誘者は、アムウェイで実現できる成功について語る際、そこについて回る困難についても契約する前に説明しなければいけません。事実を語らず、簡単に利益を得られるような事を相手に告げた場合は違法となるのです(法第40条の3)
〇再勧誘の禁止
契約する意思がないことをはっきり伝えているのにも関わらず、しつこく勧誘してくる場合も違法です(再勧誘の禁止 法第3条の2)
きっぱり断っても尚且つ、しつこく勧誘してきた場合は、消費生活センターや消費生活相談窓口に通報、もしくはアムウェイ本部に連絡してください。
まとめ
勧誘されやすい人の特徴から勧誘されない人になるまでをご説明いたしました。少しでもその傾向にあてはまる人は普段から注意が必要ですね。
しかし、これらの特徴にあてはまらないからといって安心するのは早計です。
勧誘する側は常にターゲットを求めていますから、もしかしたら明日勧誘にあう可能性だってないとは言い切れないのです。
そして、常に覚えておいていただきたいのは、「人は自分が考えているほどよりも合理的に判断ができるわけではない」ということです。
われわれが日常的に行っている判断は、常に感情や感覚による先入観や偏り・歪み(バイアス)に影響されてしまうのです。
うまい儲け話をはじめは怪しいと思っていても、話を聞いていくうちに「本当に稼げるのではないか」と思い込んでしまうこともあります。
これは「人間は自分が信じたいと望むようなことを自分から望んで信じる」からで、行動経済学では「確証バイアス」と呼ばれています。
様々な情報を前にしたとき、人は自分の願望や思い込みを強化(肯定)する、都合の良い情報にばかり目が行き、都合の悪い情報を軽視する傾向があり、それは誰にでも起こりうることなのです。
また、同じように判断に影響するものとして「後悔回避バイアス」があげられます。
儲け話を持ちかけられたとして、これに乗れば大きく得する可能性はありますが、そこにリスクもあるとすれば、そもそも話に乗らなければ少なくともリスクを負うことはなく、プラスマイナスはゼロでいられます。
しかし、「この儲け話に乗らなければ後で後悔するかも」と考えたとき、人は将来やってくるであろう「やらなかった後悔」を回避することを優先してしまう傾向があります。
冷静になって考えれば怪しい話でも、意思決定をする時にこの後悔回避のバイアスが強く働くと、まんまと騙されてしまうのです。
熟練したディストリビューターは、このような行動経済学の知識や、心理学の知識を多用し、流れるようなトークで勧誘をしていきます。
よって、自分は大丈夫だと過信することなく、常に客観的な視点と冷静な判断を保つことが大切だと思います。
そして、少しでも不安を感じたときはすぐ消費生活センター等の窓口に相談しましょう。